テレビなどで紹介されて、最近注目が集まるキクイモですが、日本に入ってきたのは1850年代ころだと言われています。江戸時代末期に家畜の資料用として持ち込まれたのでした。その後、第二次世界大戦中は人にとっても貴重な食料だったといいます。しかし食べ物が豊富になるとともにキクイモは農村部で知られるくらいとなり多くの日本人からは忘れられることとなったのです。
キクイモ(菊芋)とは
キクイモは北アメリカ原産でインディアン(ネイティブ・アメリカン)が食していたと言われています。インディアンが寒い地域にもかかわらず身体が丈夫で病気知らずだったのはキクイモのおかげとの考察があるくらいです。ヨーロッパ人がアメリカ大陸をなかなか陥落できなかったのもそのせいだという言い伝えがあります。
キク科ヒマワリ属の多年草で、菊に似た黄色い花をつけることからキクイモと名付けられました。別名ブタイモともいわれていましたが、これは飼料であった頃の名残でしょう。キクイモには「白キクイモ」と「赤キクイモ」があり、成分には大きなちがいがないといわれていますが、白キクイモはショウガのような形の実で赤キクイモはころんとした里芋のような形です。味は少し甘いゴボウのようです。
このキクイモの味こそが、日本人に忘れられた理由で、今でこそさまざまな食べ方がありますが、とにかく「おいしい」といえる野菜ではないのです。「レシピ紹介」ではキクイモのおいしい食べ方をご紹介しますが、やはりちょっと工夫しないと日常に取り入れるにはクセのある味だといえるでしょう。
<キクイモの海外での呼び名>
「サンチョーク」「エルサレム・アーティチョーク」「トピナンブール」
※北アメリカの原住民「トピナンブ族」が栽培していたことからその名がつきました。
キクイモ(菊芋)の成分
キクイモは芋と名付けられていますが、ジャガイモなどとは違いデンプンをほとんど含んでいません。主成分は「イヌリン」という食物繊維で、このイヌリンが人の身体にとってとてもいい働きをするのです。
イヌリンは胃では消化されず大腸まで届き、腸内の善玉菌のエサになるため善玉菌を増やしてくれます。腸は免疫力の要ですので、キクイモをよく食べていたインディアンが丈夫だったというのにも納得できますね。ではキクイモの成分見てみましょう。
キクイモ(菊芋)の成分のまとめ
キクイモの主成分は水溶性食物繊維イヌリンで食品の中ではもっとも含有量が多いです。次いで、ゴボウ・チコリ・アザミ等キク科の植物に多いといわれています。このイヌリンは塩分や糖を体外に排出し、フラクトオリゴ糖になってビフィズス菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やします。
イヌリンはノンカロリーの糖質で、分解しても果糖(フラクトオリゴ糖)にしかなりません。
果糖は血糖値をほとんど上げません。またイヌリンは脂肪を包み込んで、体外に排出するので脂肪の吸収を妨ぎます。
キクイモには沢山のカリウムが含まれています。カリウムはナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧に効果があります。また、筋肉の疲労を防ぐ働きもあります。また、皮膚をつくる必須アミノ酸が豊富に含まれているので、老化の予防になります。
キクイモには、イヌリン、ポリフェノール、ミネラル、ビタミン、必須アミノ酸が豊富に含まれています。
イヌリンは、体内でフラクトオリゴ糖になり、腸内細菌に届くので大腸内のビフィズス菌をふやし、便秘・下痢・高脂血症の改善のほか、血糖値の抑制・老化防止・ミネラル吸収促進などの効果が期待されています。
また肥満や動脈硬化の予防につながるといわれています。さらに菊芋を摂取することにより、すい臓のブドウ糖浄化作用が良くなり、血液がきれいになり、血の巡りも改善され、糖尿病が引き金になる諸々の症状が改善回復されるといわれています。1週間から10日で体の変化を感じるでしょう。